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山岳小説〜神々の山頂/夢枕獏〜氷壁/井上靖
書き残したことはありません
書き出してから3年、この話を書こうと思ってから凡そ20年
原稿用紙1700枚
これだけの山岳小説はもう恐らくでないだろう―

自身でこう記されているあとがき
筆者渾身の作 というのが良く伝わってくるフレーズでもあります。
作品タイトルは ”神々の山頂”
著者は 夢枕獏氏

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大まかなストーリー(あらすじ)は
カトマンドゥの裏街で
カメラマン深町が古い”コダック”を手に入れるのですが
それは かの著名な 英登山家マロリーのエヴェレスト初登頂 の謎に纏わるカメラでした。
エベレスト山頂付近で消息を断ったという マロリーが
果たして エベレストの登頂に成功していたか否かは 数十年の時を越えて尚
20世紀永遠の謎として残されているわけですが・・・。
この登攀史上最大の謎を秘めたカメラを得たことを機に
過去を追い求め奔走する深町が 
出会うべくして出合った孤高のクライマー
それが 伝説の 羽生丈二でした。
彼は 過去 パートナーの死への自責に苦しむ単独登攀家で
贖罪のように
前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂を目指していました。
生物の生存さえ許さない 高度8000メートルという極めて過酷な環境の中で
ただ一人繰り広げる死闘
彼はそこで何を考え
どう生きたのか
そして胸に貫かれる 秘めた深い想い
強い拘りとそして尚清廉な精神を持ち合わせた人間が
踏みしめて進む一歩そして
一歩・・・。
ある
透徹した美学に貫かれた作品で
山岳小説に触れるたび感じること
自ら向き合う極限状態の中での大自然と自分との戦いに
ひとは
否でも哲学的にならざるをえないのかもしれません。

※―そこに山があるから―
あまりに有名なこの言葉ですが
これこそ この小説のベースとなっている イギリスを代表する登山家
そう1923年に世界最高峰のヒマラヤはエベレスト(チョモランマ)の初登頂をめざしていた
ジョージ・マロリーの言葉なんですね。
人類が競ってエベレストの初登攀を目指していたこの時代
ですが
エベレスト初登頂の公式記録は
それから
1953年にイギリス エドモンド・ヒラリー(シェルパ/テンジン)がその快挙を成し遂げるまで
30年の時を待たねばなりませんでした。
1999年 75年ぶりに発見されたというマロリーの遺体は
山頂から600メートル下だったと聞いています。
森田勝氏(将棋の羽生善治名人も幾分被ります)をモデルにしたとも言われる
作家 夢枕獏氏のこの作品
山岳小説と言えば井上靖氏の”氷壁”が想起されますが
こちらも新田次郎以来の本格的な山岳小説と評されている逸品で
柴田錬三郎賞を受賞されてます。
集英社文庫からの出版です。
主な著作:猫弾きのオルオラネ/陰陽師/キマイラ/キラキラ星のジッタ


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―やすむときはしぬときだ
おれがおれにやくそくできるただひとつのこと
足が動かなければ手で
手が動かなければゆびで
指が動かなければ歯で雪をかみながらあるけ
歯もだめになったら目で
目でゆけ
目でゆくんだ
目でにらみながら目で歩け
目でもだめならそれでもなんでもかんでもどうしょうもなくなったら
ほんとうにほんとうにどうしょうもなくなったら
ほんとうに動けなくなったら
動けなくなったら思え
ありったけのこころでおもえ―

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